クルーズ旅行は、私にとって単なるレジャーや観光ではなく、人生そのものを変えるほどの出会いをもたらしてくれた場所でもあります。あるとき、一人で参加したクルーズで出会った人が、今の私のキャリアを大きく動かすきっかけになったのです。
当時、私は仕事に追われる日々を送っていました。長期休暇を取ること自体が珍しかったのですが、「疲れを癒やすために思い切って船旅をしてみよう」と申し込んだのが、人生初の一人クルーズでした。乗船すると、最初はやや孤独感を覚えたのですが、レストランのテーブルをシェアした方々との会話や、船内イベントでのチームゲームなどを通して、次第に親しい仲間が増えていったのです。
その中の一人に、国際NGOで活動している日本人女性がいました。彼女は難民支援に携わっており、世界中を飛び回っているとのこと。話を聞けば聞くほど、その仕事のやりがいや、直面する課題の多さ、そして大きな使命感に胸を打たれました。ちょうど当時、私は自分の仕事にどこか限界や疑問を感じ始めており、業務自体は嫌いではないものの、「このままでいいのか?」という漠然とした不安があったのです。そんなタイミングで、彼女の生き生きとした姿や、世界で起こっているリアルな問題に触れたことが、私の心を強く揺さぶりました。
クルーズの最終日、彼女とお互いの連絡先を交換し、「いつか一緒に何かできるといいね」と言葉を交わしました。正直、その時はそれ以上の具体的な展開があるとは思っていなかったのですが、帰国後しばらくして彼女から、「もし興味があるなら、私たちの団体が行うオンラインセミナーに参加してみない?」と声をかけられました。今となっては、それが大きな転機だったと思います。セミナーやボランティアに携わってみるうちに、私自身も国際支援に強い関心を抱くようになり、ついには会社を退職してNGO系の仕事を目指すことを決断したのです。
今でも「なぜあのタイミングでクルーズに行ったのか」と問われると、不思議な縁を感じざるを得ません。もしあの時クルーズに行かなければ、今の私はまったく別の人生を歩んでいたでしょう。クルーズは非日常の空間でありながら、実は人間同士が深く関わる場でもある――その魅力を身をもって体験した出来事でした。今思えば、あの出会いは運命的だったと言っても過言ではありません。海と空と、そして国を越えて集まる人々の力が、私の人生を大きく舵取りしてくれたのだと思っています。
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